連載「フラクタル次元を測る」
公開順に読み進められる連載です。
- シェルピンスキーの三角形は何次元か。「1.58次元」を自分のコードで実測する
シェルピンスキーの三角形のフラクタル次元をボックスカウント法で測ったら1.568で、理論値1.585と0.017ずれた。乱数のブレでも点の数でも解像度でもなく、原因は三角形と方眼のズレだった。方眼に辺を揃えて置き直したら、塗れたマスが9・27・81・243と理論の3倍ずつそのまま並び、誤差0.0000で一致した。
- マンデルブロ集合の境界は「2次元」だと証明されている。同じコードで測ったら1.09にしかならなかった
マンデルブロ集合の境界のハウスドルフ次元は2であることが1998年に証明されている。ボックスカウント法を円(1.000)とコッホ雪片(1.2619)で較正してから同じコードで測ったら、1.090にしかならず、解像度を16倍にしても反復回数を4000倍にしても動かなかった。なぜ測れないのかを、境界画素の可視化と局所の測定で突き止めた記録。
- ジュリア集合が「連結かどうか」を数えるだけでマンデルブロ集合が出てくる。ただし出てきたのはメインカージオイドだけだった
マンデルブロ集合には「ジュリア集合が連結になるcの集合」というもう一つの定義がある。cを90×90に振って各ジュリア集合の連結成分を数えたら、一致率95.72%でマンデルブロ集合が再現された。ただし取りこぼした345点は周期2以降の球にきれいに集中していて、解像度を上げると9個から113個へ悪化した。
- ヒルベルト曲線は「近さを保つ」と言われるが、平均で見ると行優先に負けた(155.6 対 128.5)
ヒルベルト曲線・Z階数・行優先の3つの並べ方で、2次元で隣り合う画素が1次元でどれだけ離れるかを実測した。ヒルベルトは中央値1に対し行優先128と圧勝するが、平均155.6・最大54,613で行優先の128.5・256に負ける。空間充填曲線の次元が2になるのは極限の話で、有限の曲線は傾き1と傾き2の2つの領域を持つことも測った。
- 3つの国の国境が、どこを取っても3か国すべてに接している。ニュートン法の吸引域で「和田の湖」を実測した
z³−1=0をニュートン法で解いたときの吸引域を2048×2048で描き、境界画素のまわり半径2画素に3つの領域すべてが現れる割合を測った。結果は97.57%で、解像度を4倍にしても変わらない。ふつうに3等分した境界では0.72%。境界のフラクタル次元1.438や、200回まわしても収束しない初期値の存在も測っている。